カテゴリー: Short story

背中

冴子は走っていた。 郊外の住宅地へ向かう地下鉄の最終を目指して、走った。 ホテルの宿泊代より高いタクシー代を考えると、自然とスピードが上がる。 思えば、夫の反対を押し切ってまで手に入れた家だったが、都心との距離への不満は […]...

贅沢な別れ

付き合っている彼に愛想が尽きて別れ話をするときは、美容院で彼好みの髪形に変えてから臨むという女性のツイートを読んでいたら、昔の物語を思い出した。 別れ話は、切り出すものではなく、切り出されるものだと思いこんでいた幼いころ […]...

幼なじみ

幼なじみだから言うけどさ、そろそろ潮時なんじゃないか? ・・・・・・ 何がって、あいつとのことに決まってるジャン! ゆうべだって寝てないんだろ? ・・・・・・ 嘘つけ!その顔見りゃわかるぞ だいたい、金曜の夜だってのに俺 […]...

家族

今年の桜は辛抱強い。例年なら、とうに咲いているこの時期になっても、蕾のままで頑張っている。 春の陽射しにつられて、相方と散歩にでた。店の前の桜並木を歩きながら 『この分だと、入学式あたりが見ごろかな?それも、趣があってい […]...

あの人。。。

※動画と本文とは関係ありません。 彼女が 私を あの人と呼ぶ その響きが好きだ あの人が喜んだと はしゃぐ彼女に そばにいてくれたからさ……と言ってやりたい あの人が怒ったと ふさぎこむ姿に 度量の無い自分を悔やむばかり […]...

There Will Never Be Another You

針のスプレーのように身体を刺してくる熱いシャワーに、たっぷり20分打たれたあと、1時間以上もかけ、ゆっくりと身支度を整えながら、たった今、大地震が起きてくれればなぁ、否、地震じゃなくてもいい、何かの天変地異で世の中の一切 […]...