常識の規範

社会生活を営んでいく上で【常識】は欠かせないものである。

ところが “自分の常識は他人の非常識” との例え通り、その【常識の規範】となれば、人それぞれであるから始末が悪い。

未曽有の事とはいえ、昨今の世情を見れば明らかのように、その擦り合わせが出来ない故(ゆえ)の行為を【非常識】と断罪してしまうのは如何なものかと思ってしまう。

とは言え、人としての【常識】を欠いているのであれば、それこそ【非常識】の最たるものである。

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今夜は火曜日でもあるし、まったりとした時間を過ごせると思っていたところ、やはり予想通りだった。早い話暇だってことである。

おまけに、10時過ぎごろから激しい雨が降り出したので、90%はくつろぎモードに入っていた。

それでも商売なので、雨脚を確認しようと外に出てみた際に、2軒隣の居酒屋さんの前に人が倒れているのを発見したのだ。

折しも、雨脚は激しくなる一方で、歩道からは飛沫が上がっている。

当然のように駆け寄り声をかけたところ、酩酊されている様子ながらも受け答えは出来る状態だった。

かと言って、そのまま放置する訳にもいかず、店に声をかけたところ、そこの店主はヘラヘラ笑いながら『大丈夫、大丈夫』とおっしゃる。

『いや、この雨だし、大丈夫じゃないでしょ?』と訊ねるも、カウンターで飲んでいる酔客も同様に『大丈夫だから~』と、これまたヘラヘラ。

傘もささずに飛び出した私を見かねて、相方が傘を持ってきてくれたのだが、すでに濡れネズミ状態。

それ以前に、私の頭の中では【常識の規範】が飛び回っていたので、おとなしく相々傘で店に戻ってきた。

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顛末を言えば、数分後にパトカーがやって来て、無事にお持ち帰りされたので事なきを得た訳だが、店に帰ってから、暇をいいことに、相方と話した限りでは、お互い同じ意見だったので、少しは留飲を下げることができた。

件の居酒屋さんは後発だったので、ご近所のよしみもあり、いち度だけお邪魔したことがある。

しかし、飲食店としての常識のずれが感じられたので、以後は挨拶程度のお付き合いしかしてこなかった。

それこそ、【規範】と言うよりも経営方針の違いだと、自分に納得させ、それを貫いてきたのだ。

それでも、今回に関しては、客商売を営む上での常識、否、【人としての常識】が欠けているだろう。

私としては、聞きしに勝る【非常識の範疇】なのである。