ゼロの焦点

松本清張氏の作品の中でも知名度が高く、幾度となく映像化されている。

活字人間の私としては、これまで、映像化された作品と原作との違和感に関して数々考察してきた結果、ひとつの判断基準を得ることができた。

それは、活字による原作と映像化された作品は別物であるが、作者が描き出そうとした根幹のブレは許されないことである。

この作品を例にとれば、戦後13年を経た時代背景を舞台に、時代の傷痕が生んだ連続殺人事件が描かれている作品なのだが、その点からすれば、TVドラマ化された作品については、正直言って別の作品だと言ってもいい。

それに比べれば、映画化された2作品に関しては、その点のブレが無いので違和感なく鑑賞することができる。

中でも1961年の作品は、原作以上に楽しめた稀有な1本である。

ラストシーンを始めとした原作との違いも、活字と映像の表現方法の違いと理解すれば違和感なく鑑賞できるのは、テーマに対するブレが無いからに他ならない。

幾度となく観返しても色あせないのは、作者の言わんとする部分が映像として表現されていることと、とりもなおさず、出演されている俳優さんの演技力によるところが大きいのだろう。

その点からすれば、2009年の作品は残念である。

この作品の方が、より原作に即して描かれているのだが、主演されている女優さんの演技が如何ともしがたいのだ。

この女優さんに関しては、主演されている作品を数本拝見しているのだが、すべてにおいて印象が変わることがない。

私の好みの問題だとしても、何故にこの女優さんを起用するのかが理解できないのだ。今風に言えば『意味わかんない~』とでも言うのだろうか。

自身が主演する作品を、これほどまでに台無しにしてしまう女優さんも珍しい存在だろう。

言い換えれば、それがこの方の持ち味と考えれば納得できるのだろが、何とも釈然とできない思いが残ってしまうのだ。

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