【山崎】と【白州】

my Style,Note

サントリー・ウイスキーの2枚看板といえば【山崎】と【白州】が真っ先に思い浮かぶ。

どちらも優れたウイスキーであるし、好きな方にとっては何ものにも代えがたい価値があることだろう。しかし、近頃の情勢はいささか度を越しているように感じられるのである。

私も【山崎】が好きで、長年、愛飲してきた。中でも【山崎12年】の完成度に関しては平伏すことしかない思い浮かばない。

ニート、ソーダ、水割り等々、どんな飲み方をしても存在感が失われることがない。そんな酒が、2000年初頭では¥3.000台で手に入ったのだから、飲まない理由は思いつかなかったのである。

一方の【白州】は、30代で飲んだ印象がよくなかったこともあり、遠ざかっていたのだが、2004年に店を開くにあたり飲んでみたところ、すっかり気に入ってしまった。

悪印象となっていた薄っぺらく感じた部分が透明のある爽やかさに変化していたのだ。

不思議に思い調べてみた。白州蒸留所が開設されたのは1973年。となれば、私が始めて口にしたときはまだ10年そこそこしか稼動していなかった時期である。

それが店を開いた2004年となれば、すでに30年が経過している。その歳月の流れが味となって感じられてのだろう。それこそが、ウイスキーが持つ人知を超えた部分であり、私がウイスキー好きになった原点でもある。

そこで、昨今のウイスキー事情だが、ひと昔前の低迷期を思えばずいぶんと回復していると思われる。そのせいなのか、数年前から原酒不足が叫ばれていたが、ここに来て、のっぴきならない状況になっているようなのだ。

某サイトによれば、ウイスキーの消費量は1982年をピークに減り続け、それは2008年まで続いたとある。一説によればピーク時の1/3程度までの落ち込みだったらしい。

日本のウイスキーに関して言えば【サントリー】と【ニッカ】が双璧であり、どちらも大企業である。故に、売れないものよりは売れるものに重きを置くのが当然であり、原酒の仕込み量もそれに倣(なら)ったことは自明の理であろう。

それが、ぼぼ10年前のこととなれば、おのずと今の原酒不足を理解できるというものである。ここでも、ウイスキーがもつ人知を超えた部分を色濃く感じられるのだ。

おそらくは、昨今のウイスキー人気は想定外だったのではないだろうか。それなりの企業であることを踏まえれば、緩やかな回復なら対処できていたと思う。

ウイスキー好きとしては、嬉しい反面辛くもあり、痛し痒しという言葉が浮かんできた。それと同時に、釈然とできない現状を目の当たりにして、憤りを感じて仕方ないのである。

閑話休題。

物には価値があるが、それには【公】【私】の二面性を含んでいる思う。老眼鏡を例にとれば【公】の価値としては、ただの眼鏡でしかなくても【私】としての価値となれば計り知れないものがある。

それが100円均一の物であったとしても、有るのと無いのとでは雲泥の差ができてしまう。しかし、それは【私】の部分であって、決して【公】の価値ではないのだ。

その点の曖昧さが顕著に出てくるのが趣向品のようである。

表題の銘柄と重ねれば、人気なり希少性などが加味された価格で取引されているのが現状である。正直に言えば、私が許容できる価値の10倍近くになっている物さえある。

しかし、それはあくまでも私の価値であって、取引されている方がその価値を受容されているのであれば何の問題も無いのであるが、敢えて言わせてもらえれば、どう考えても尋常でない価格としか思えない。

高値が続いているウイスキーといえども、同等の価格に見合ったウイスキーなら枚挙にいとまがないくらい存在しているので、私ならそちらを選択する。

と言っても、私にはそんな余裕がある筈も無く、つまりは、貧乏人の僻みと言われても返す言葉が思いつかない。ただひたすら、自分が納得できる価値になるまで飲まずに待つだけなのである。

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Posted by Haru