マニュアル孝

2018/04/08Note

二人連れで某ファミリー・レストランへ入ったと想像していただきたい。

まずは、

「ようこそ〇〇ーズへ」

と、作り笑顔でいきなり出迎えられる。おそらく、彼女にとってそれは飛びっきりの笑顔なのだろうが、私は些か戸惑ってしまう。

そして間髪入れず

「何名さまでしょうか?」

とくる。

私は思わず周りを見回すが、私たち以外には誰も見当たらない。二人に決まっている。それとも、彼女には私に取り憑いた背後霊でも見えているというのか。声を出すのも億劫なので指を2本立てる。

すると、畳み掛けるように

「お煙草はお吸いになりますか?」

とくる。

彼女とすれば単に禁煙席か喫煙席を決めたいだけなのだろうが、仕切りも無い店内で席を分けることのメリットは何なのか知りたいものだ。私はこう聞かれるたびに一度言ってみたいことがある。

「私は吸わないけど、相方は吸います」

こう言ったときの対応を是非知りたいのだが、それほどの意地悪でもないので、いつも素直に吸いますと答えてしまう。

すると

「あちらが喫煙席になっております。空いてる、お好きな席にお座りください」

ときたもんだ。

おーーい!今までの会話はなんだったんだっ!ったく!長々とわかりきったことを聞いた挙句が好きな席に座れだと?

だったら始めから

「いらっしゃいませ。二名様ですか?お煙草を吸われるのでしたらこちらが喫煙席になっております。ご自由にお座りください」

これで事足りるのではないか。

極め付きは、支払いを済ませおつりを渡してくれたときの言いぐさである。

「10円のお返しです。お確かめください」

一体、何を確かめろと言うのだっ!

彼女は忠実にマニュアルを守ったに過ぎないのであろうが、どう考えても辻褄が合わないことばかりではないか。しかし、どこへ行っても似たり寄ったりな対応に出くわすことが多くなった。

聞くところによると、このようなマニュアルでも無いよりはましで、近頃の若者は、マニュアル無しではどんな対応をするかわからないとのことであった。

つまるところ、これがご時世だと諦めてしまうのか、おかしいものはおかしいと言って頑固者のレッテルを貼られるか、どちらを選択するかは本人次第ということだろう。

※この時点では、私はまだ喫煙者ではありませんでした。
2018年追記 Haru

Note

Posted by Haru