娘の結婚

小路幸也(著) 祥伝社 平成25年

読書好きになった経緯は人それぞれだと思う。

私のように、好きになった人が読書家だったのでという、下心丸出しの下卑た動機から読み始めたのは別として、ただただ読書に魅せられ、読み続けていらっしゃる方々は多いのではないだろうか。

相方のそれは、就寝前の読書だった。いつのころからか、本を手に床につくようになり、それが今でも続いている。時には面白すぎて読み耽ってしまうという、まったくもって本末転倒なことを繰り返しながら、今では、私の読書量に迫る勢いになっている。

お互いの読書量を競っている訳ではないが、日頃から相方からの小言に対して難しい言葉を並べて煙に巻いていた私としては、このままではそれも難しくなる恐怖心から、久しぶりに読書らしいことを再開した。

とは言え、久しく読書から遠のいていたこともあり、肩の凝らない作品をと思い選んだの本作である。

娘を持つ父親が抱く永遠のテーマとも言える【娘の結婚】を表題に冠しただけあって、それを体験したのがはるか昔の私でさえ、そこかしこで頷きながら数時間で読んでしまった。

登場人物の誰もがいい人ばかりなのは、この手の作品でのお約束と思えば、妻に先立たれ、男手ひとつで育てた娘を嫁がせる父親の気持ちを、柔らかで優しい筆致で綴っている心温まる作品だった。

ときには、こんな心温まる作品と触れるのもいいものである。