D.I.Y. キッチンカウンター編

『ゴミ箱を隠せるような、キッチン・カウンターが欲しいな。たとえば、こんなの。。。』

相方が見せてくれた画像は、カラー・ボックスに天板を渡しただけのキッチン・カウンターだった。

ホイホイと、言われるままに作ってしまえば半日で終わるものを、よせばいいのに『もっと、いいやつを作るよ』などと胸を張ってしまう。挙句、四苦八苦を繰り返す羽目になるのだ。それが、また楽しいのだから、まったく困ったものである。

まずは、天板。予算に糸目を付けなければ1枚板の立派なカウンターが出来るのだが、それなら、はなからプロにお願いしたほうが理に適っているし、見栄えもいい。しかし、それでは他人の家にいるような気になってしまうだろう。やはり、他人の手を借りるより、自分の手を汚したい。何たって【Do It Yourself】である。まっ、その根底には、予算金額が張り付いているのは言うまでもない。

そこで閃いたのが、足場板である。これなら丈夫だし、荒い表面は削れば何とかなる。反りや捩れは味の範疇にしてしまえばいい。素人仕事万歳なのだ。

早速手に入れた足場板を2枚貼り合わせた。この画像では判りづらいが、思った以上に、表面は荒く反りもある。味の範疇に収まるか不安がよぎるも、まずは一晩寝かせて、先に進むことにした。

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接着剤にも数多(あまた)あるが、木工ボンドの素晴らしさは体験してみなければ判らないだろう。木材を貼り合わせるのならコレに適うものは無い。乾きは遅いし、クランプなどで押さえておく必要はあるが、いったん乾いてしまえば貼り付けたことを忘れるほどの威力を発揮してくれる。2枚の足場板が、一晩で1枚になってくれた。

サンド・ペーパーで表面処理をしたのち、ワトコ・オイルを2度塗り。味も素っ気も無かった足場板が、いい味を出し始めてくれた。この分なら、アクリル・ニスを塗って仕上げれば何とかなりそうだ。昨夜の不安は杞憂となり、独りニンマリしながら、オイル臭が充満する仕事部屋で深夜の酒盛りとなる。

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次なる課題は、カウンター側面に貼る板である。天板が杉の足場板なので、杉の荒板を手に入れた。板幅も厚みも手ごろだったし、何といっても懐に優しい価格が決め手になったのだが、思わぬ落とし穴が待ち受けていた。

荒板というだけあって、表面の荒さが尋常ではないのだ。ささくれが、軍手の目などは、いとも簡単に通してしまうので、皮の手袋をはめて、ただひたすらサンド・ペーパーで表面処理を続ける羽目になった。

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店の片づけを済ませ、そのまま作業部屋へ直行。深夜2時ごろから3時間ほど、床に這いつくばって、ひたすら無言でサンド・ペーパーをかけていると、修行僧にでもなった気分になる。

そのうえ、上腕の筋肉、二頭筋、三頭筋はもちろん、三角筋、僧坊筋、はたまた後背筋まで総動員するので、ジムで筋トレするよりも余程疲れるのだ。運動不足を嘆かれる方には、是非お勧めしたいが、そんな馬鹿げた環境になること事態がありえないので、参考にはならないだろう。

そんな甲斐があって、オイルで仕上げた荒板たちは、いい味をだしてくれた。

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ここまでくれば、しめたものである。垂木で骨組みを作り、天板を乗せ、側板を貼れば、憧れのキッチン・カウンターの出来上がりである。荒板ならではの節穴や隙間は、すべて味の範疇と思えさえすれば、そこそこの仕上がりだろう。

その上、予定にはなかったカウンター下にテーブルまで付けたのだから上出来。などと自画自賛しながら呑(や)るご褒美の一杯は格別だった。

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殺風景だった横の壁を廃材で埋め、照明を取り付けたのが、この完成形である。

実のところ、ゴミ箱を収納する目的で作りはじめた訳だが、場当たり的に寸法を変更した結果、お目当てのゴミ箱が入らないことが判明。幸いにも、丁度収まるゴミ箱があったので、事なきを得たのだが、そんなこともあり、相方からの評価が心配だった。

しかし、それも杞憂だったようで、カウンター・テーブルの隅は【すみっこ同盟】を自負する彼女のお気に入りの場所になってくれたようだ。これで苦労が報われたと言えば丸く収まるのだろうが、苦労ではなく、楽しいところが厄介この上ないのである。

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出来上がってしまえば何のことはない。普段の暮らしに溶け込んでしまい、そこにカウンターがあることが当然のように気にならない。製作者としては、それが一番嬉しかったりもする。

それでも、念願だったエジソン電球を使った照明を眺めながらの独り酒は、格別以外の何者でもないし、ここへ越してきて良かったと思えるひとときでもある。

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