My Foolish Heart

オーダーはモスコー・ミュールとゴッド・ファーザーだった。

「幸せそうで安心したよ」

遠慮がちな、彼の声が聞こえてきた。

「あなたは?幸せじゃないの?」

絶妙な切り替えしである。

「別れた女房と飲むのが唯一の楽しみになった男の幸せなら堪能してるけどな」

なるほど、別れた夫婦なのか。。。
彼女がモスコー・ミュールを半分ほど飲んだ。彼のほうは口をつけていない。

「別れたの、知ってるわ」 
「逢ったのか?」

彼女は、グラスを見つめたままだ。

「でも。。。良かったじゃない」
「良かった?」
「別れたことよ。逢ってはじめてわかったんだけど。。。」

彼女が、残りを一気に飲み干した。

「彼女、わたしとそっくりだった」
「これでも落ち込んでるつもりなんだけどな」
「そうはみえないわ」
「。。。」
「今のあなた、生き活きしてみえる。出逢ったころと同じようだわ」

彼女が眩しい視線で彼を見つめている。

「そっちは?彼と、うまくいってるのか?」
「現状維持ってとこかな。子供のこともあるし」
「そっか。。。」
「あと5年は無理ね」
「でも、大丈夫だろ?俺と違って誠実な人だし」
「そうよ、昔のあなたと同じくらいにね」

二杯目のモスコー・ミュールのオーダーが入った。
彼のほうは、半分も減っていない。

※ これはフィクションで実際のmy Styleとは関係ありません。たぶん。。。