郷愁

ひょんなことから、故郷の町のフェイスブック・ページを見つけ、フォローしてきた。

彼の地に縁の無い者には、まったく興味の湧かない内容ばかりだろうが、多少なりとも関わりを持った私には、懐かしさをオブラートで包んだような感じにさせてくれて心地よかったのだ。

そんな折、美唄、それも炭鉱町を題材にした朗読劇と映画の記事が掲載されていた。Youtubeでも配信されているという。早速、視聴してみると、何とも懐かしい写真の数々と出逢えたのである。

興味があれば、映画の方も視聴されてはとも思うが、炭鉱町で暮らした経験が無い方には、正直言って、ウォッカをソーダで割ったようなものだと思われる。

そして、記事をたどっていくうち、当時を思い起こさせるような、懐かしい地図が現れのだ。それは、私の中で薄れかけていた思いを蘇らせるには充分過ぎるほどのものだった。

11歳まで、そこで暮らしていた。北海道の炭鉱町だ。帰郷するならここへ足を運ぶのが自然なのだろうが、この地図によれば、幹線道路以外は通行不可になっている。生前から、ことあるごとに郷里の話をしていた両親なら、どう感じただろう。

そんな思いで地図を眺めていると、通っていた小学校の名前があった。他にも、映画を観た会館、祖母が息をひきとった病院など、懐かしい名前を目にした刹那、もう居たたまれなくなってしまっていた。

単なる郷愁かもしれない。それでも、気がつけば、今は骨となってしまった、父と母を連れて帰ることに決めていた。

おそらく、最初で最後の里帰りになるのではないだろうか。折角だから、どこまで近づけるかは判らないが、入れるところまでは分け入ってみようと思っている。

やっと思い立った、50年振りの帰郷である。